代表取締役社長 春原良裕
あかつき交通が20年続けてきた“見守り”と“育成”の哲学
あかつき交通は、単に人を運ぶ会社ではありません。創業以来、地域の一員として人々の暮らしに寄り添い、支える存在でありたいという信念のもと、20年以上にわたり“地域見守り隊活動”を続けてきました。そこには「人と人とのつながりを大切にする」という、この会社の根底にある思いが息づいています。
平成15年頃から始まった「地域見守り隊活動」は、札幌市や北海道警察と連携しながら、防犯や安全確保のための見回りを続ける取り組みです。
社員たちは日々の業務の合間にも、地域の子どもや高齢者に気を配り、声をかけ、手を差し伸べています。
あるドライバーは、道に迷って泣いていた小学生を見つけ、家族の元へ送り届ける手助けをしました。また別の社員は、夜中に帰り道がわからなくなっていた高齢者を保護し、自宅まで送り届けたこともあります。遮断機を上げて車椅子の方を安全に通すなど、日常の中で自然に生まれるこうした行動は、表彰されることこそ少ないものの、確実に地域の安心につながっています。
社長はこうした行動について、「無理にやらせるのではなく、社員一人ひとりの“自然な優しさ”として生まれてくることが大切」と語ります。
「困っている人を見かけたら声をかける。当たり前のようで、今の時代なかなかできないことです。だからこそ、そういう“ちょっとした勇気”を大切にしてほしいと思います」
あかつき交通では、単に業務スキルを教えるだけでなく、“人として大切なこと”を共有する場も大切にしています。月に一度のミーティングでは、安全管理や経営方針に加えて、「人としてどうあるべきか」という話題にも時間を割きます。
「家庭や学校では教わらなかったことでも、会社で伝えることができます。『困っている人には手を差し伸べなさい』『相手の立場に立って考えなさい』といった当たり前のことを、あらためて言葉にして伝える。それが企業の役割でもあると思っています」
人の命を預かる仕事だからこそ、安全教育には特に力を入れています。社外講師を招いた研修や警察・行政との連携などを通じ、事故防止と安全運転の意識を徹底しています。
一方で社長は、「安全だけを重視すれば良いというものではない」とも語ります。
「安全に運転しているだけで営業活動をしなければ、それは会社としての役割を果たしていません。事故を防ぎつつ、自ら行動して地域やお客様のために力を発揮する――その両立が大切です」
あかつき交通が目指すのは、ただの交通事業者ではなく、“人と人をつなぐ存在”です。
「本当に困っている人を見たら、声をかけてあげる。そうした当たり前の行動ができる人が、これからの社会を支えていくと信じています。だからこそ、私たちの会社では、技術だけでなく人としての温かさや勇気を育てていきたいんです」
20年にわたる地域見守りの取り組みは、単なるCSR活動ではなく、あかつき交通という会社の“文化”そのものです。人を想い、地域に寄り添い、声をかける勇気を持つ――それが、この会社が大切にしてきた歩みであり、これからも変わることのない理念です。